ここ数年・・バイク界では、ネオクラシックブームが起きていて
中身は最新の技術ったバイクだけど
見た目はクラシカル・・というバイクが人気ですね。
そのブームを牽引しているのが、カワサキのZ900RSなんですが・・
そのZ900RSに対向すべく、ホンダが満を持して送り込んだバイクが
今回のCB1000Fになります。
ただ・・CB1000Fに課された使命は
Z900RSの市場を奪う事だけでなく
約、半年前に生産が終了したCB1300の後継車としての使命・・
つまり、ホンダが誇るCBシリーズの
フラッグシップ車としての役割も果たす必要がありますね。
CB1000Fは、ベース車となるCB1000ホーネットにも搭載されなかった
6軸IMUを搭載してきたという事で・・
CB1000Fって一体、どういうキャラクターなんだと
実際に乗るまでは、全くの謎でしたが・・
乗れば、すぐに分かりました。
とりあえず、サスペンションのセッティングは
工場出荷時の状態で乗ってみましたが・・
既にCB1300を彷彿とさせるような極上の乗り心地を味わえましたし
不快な振動等を極力排除したような高い品質を感じる乗り味でした。
価格やスペック等は、最大のライバルである
カワサキのZ900RSを意識していると思うのですが
バイクとして目指したのは、間違いなくCB1300だと思われ
CBシリーズのフラッグシップ車として恥じない乗り味に
仕上げたかった事がヒシヒシと伝わってきました。
ホンダのCBシリーズがバイクのスタンダードになった理由を
信頼性や見た目以外で、ひとつ上げるとしたら・・
やはり、誰にでも乗れる低めのシート高だと思うのですが
このCB1000Fでも、シート高は意地でも800mmを切る・・
という意気込みを感じたのが、このシートでした。
お尻が痛くならないギリギリのラインを狙って
クッションを薄くしていたり
太ももの動きを邪魔する角の部分は絶妙に薄くするなど
足つき性を良くする為の努力を感じました。
なので・・実際の足つき性に関しては
CB1300と、ほとんど変わらない印象でした。
ただ、このCB1000Fの足つき性を一番邪魔している物は
前気味に取り付けられたステップで・・
足を自然に地面に下ろした時の
丁度良い位置にステップがありますね。
しかし、この前気味に付いたステップのおかげで
かなりリラックスした姿勢で走れるのも事実なんですよね・・
エンジンを掛けると、やっぱり結構な爆音だったので
家の前では、エンジンを掛けたくないのですが・・
騒音の数値を見てみると、4500回転で96dBでした。
ちなみに・・CB1300は、3875回転で97dBだったので
それに比べれば若干静かなのかなと・・
目を瞑ってエンジンを掛けると
CBR1000RRのエンジンをベースに使っているハズなのに
まるで、V型エンジンを思わせるような
ドロドロしたアイドリング音だったので
ちょっとビックリしましたが
低回転域で走らせていると、V型エンジンっぽい
ドロドロしたフィーリングが続き
回転数を上げていくと、直列4気筒エンジンならではの
統率の取れた綺麗な回転フィーリングに変化していくので
まるでVFR800のV型4気筒エンジンに近い物を感じました。
エンジンの特性的にも、CB1300のエンジンのような
低~中回転域での扱い安さに的を絞った特性でしたが
元々は、CBR1000RRのエンジンという事もあり
高回転域までシルキーに回ってくれますね。
CB1000ホーネットと差別化する為というか
CB1000Fとしての個性を与える為にも
あえてドロドロしたV型エンジンのような特性を
付け加えたのかもしれませんね。
ハンドルまわりを見てみると・・
メーターパネルは、完全に最新のホンダ車というか
悪い言い方をすれば、共有部品を使う事によるコストダウンなんですが・・
なんせ、6軸IMUによる最新の電子制御を搭載している事もあり
セッティング等、大画面の液晶メーターパネルじゃないと
都合が悪い事も理由にあるとは思いますね。
ん~、この写真で気になった所は・・
やっぱりETCアンテナのピロっと横に飛び出た配線ですかね・・
実際には、90度くらいアンテナを立てても問題はないので
目立たない場所に移動させても良いのですが
メーカーとしては、どうしても
この標準的な角度でしかアンテナを取付出来ないですよね・・
最近、採用されはじめた、このメーターパネル内のデザインの・・
嫌いですわ~
CB650Rの時にも書きましたが・・
このメーターパネルのデザインは基本的に
水温計や電圧計など、街中を普通に走るうえで必要のない情報は
画面上から極力排除していますね。
また、走行モードをカスタム出来るユーザーモードの表示には
ハート型のアイコンを採用するなど
こういうのをジェンダーレスデザインって言うのですかね・・
そのポップなデザインは明らかに
CB1000Fのキャラクターというか見た目には
全く合っていないように思えますね。
若い世代の人からは、こういう凝り固まった考え自体が古いというか
昭和産まれの老害と思われるかもしれませんけどね・・
もちろん、液晶モニターなので
デザインの変更も多少は出来るのですが
数字の配置とタコメーターの表示の仕方が変わるだけですね。
アナログのタコメーターとスピードメーターを再現したような
CB1000Fに似合うクラシカルなデザインが欲しい所ですわ・・
あと、十字に動くスイッチによる操作性に関しても
メーターパネル内の情報を排除している事で
ボタンを長押ししたり、色々ボタンを押しまくって
いちいちメニューを開かないと
P(パワー)EB(エンジンブレーキ)T(トラコン)の
大事な電子制御の数値すら表示されないのですよ・・
正直、CB1000Fのもっともクソな部分が
このメーターパネル内のデザインだと思いました・・
ユーティリティに関しては、CB1000ホーネットには採用されなかった
スマートキーが採用されていますね。
一応、物理キーもスマートキーに内蔵されていて
燃料タンクのフタとシートの脱着時に使います。
ただ・・なぜか、そのスマートキーが異常にデカいんですよ・・
サイズ感が分かりやすいように
ほとんどのバイクに同じ物が採用されている
燃料タンクのフタに置いてみましたけど・・
もしかして・・燃料タンク内に落としても
入口で引っ掛かるサイズにしたのかな・・?
試しに他のスマートキーと比較してみると
やっぱり、CB1000Fのスマートキーは圧倒的に大きく分厚いです。
デザイン的にも、まるで法人の実印を入れる印鑑ケースみたいです。
ちなみに・・BMW等、4輪の外車がデカいスマートキーだったりしますが
あれは、手が大きくてもボタンが押しやすいように
そもそもボタン自体が大きい事や・・
日本車のアルファードのパターンだと
ドアを開閉させるボタンが多い事でデカくなったりしますが・・
CB1000Fのスマートキーには、ハザートを点灯させる小さなボタンと
電源オンオフの小さなボタンがあるだけですからね・・・・
ちなみに・・右のヤマハ NMAX155のスマートキーが小さいのは
物理キーを内蔵していないので、その制約がないからですね。
左のGRヤリスRCと、真ん中のCB1000Fを比較してみると・・
物理キーの長さが全く同じだったり
スマートキーが採用される以前の自動車に多く採用されていた
ボタンを押すとシャキーン!と、バタフライナイフのように
物理キーが飛び出す機構という共通点があります。
そもそも・・GRヤリスRCは、スマートキーではなく
ただのリモコンキーなので、そういう所を加味すると・・
CB1000Fのスマートキーが異常に大きい原因は
スマートキーなのにも拘わらず、ボタンを押してシャキーン!っと
物理キーが飛び出す機構を採用したから・・
という結論に至って、無理矢理に納得しましたが・・
実際は、どうなんでしょうかね・・
少し脱線しましたが・・CB1000Fを一言で表現するなら
50Kg軽くして電子制御で武装したCB1300・・
と、言ってしまうと・・何だかCB1300が
ただ重いだけのバイクと言っているかのように聞こえるので
CB1300に対して失礼ですし
ぶっちゃけ、CB1300の乗り味をCB1000Fで完全再現する事は
物理的に不可能なんですが・・
CB1300に近い乗り味を持っているという意味では
CB1000ホーネットのCB1300モドキ。
実際には、こっちの方がシックリくる感じがします。
CB1000ホーネットのオーナーが嫉妬しそうな
6軸IMUとスマートキーの装備は
間違いなくカワサキのZ900RSに対して
より商品力を高める為だと思われますが・・
実際には、カワサキのZ900RSのデザインが好みな方が
このCB1000Fを選ぶとは、到底思えないんですよね・・
メーターパネルのデザイン等、色々含めてそう思いました。
なので・・実際にCB1000Fに乗ってみて思った事は
今まで、CB1300に乗ってみたいと思ってはいたけど
スペック表に記載された266Kgという重量によって手が出せなかった・・
という方にとって、CB1000Fは
正に、待ってました!な、バイクだと思ったので
結局の所、カワサキのZ900RSとは
上手く住み分けが出来るんじゃないかと思いましたけどね・・
とにかく、フィジカル面に不安がある人でも
あのCB1300に近い上質な乗り味を
より気軽に味わえる所が
CB1000Fの最大の魅力なのかもしれません。